光源の作り方
ジャイロセンサ付LED光源
当初、本学のイルミネーションで用いた光源は既製品を用いていたため、光の色や強弱を変化させることができませんでした。
そんななか、もっと面白いものを作りたい。オブジェを作るだけでなく光源まで制御できれば、今以上にアイデアを形にできると思い、一昨年からは自作光源の製作にも取り組んできました。
ここでは、2015年のキャンパスイルミネーションで使用した「ジャイロセンサ付LED光源」について、作り方から制作話までご紹介します。
どんな光源?
2015年度のキャンパスイルミネーション。4月のオブジェ案を考えるミーティングの時でした。
毎年ビオトープの池をうまくつかえてないので、今年は池に浮かべるオブジェを作ろう!…
この一言で、自作光源作ることが決まりました。
このジャイロ付LED光源(以下、ジャイロ光源)は水面に浮かべるオブジェに搭載し、水面が波打つときの水面の傾きを検知することで、ちかちかと光の強弱が変化する光源です。
次の動画では実際に会場の池にオブジェを設置していた時の動画です。
…いかがでしょうか?
このように、(水面に波を起こすと、池に浮かべたオブジェが波を受けてゆらゆらと光りだす。そんなオブジェが完成しました。
それでは下に、具体的な材料や回路、制御プログラムを紹介します。
基本的な考え方
今回の光源には主に「揺れ」を感知する機能を持たせたかったので、デジタルカメラなどに搭載されているジャイロセンサを使いました。
ジャイロセンサを用いた、今回のアイデアを技術的に表現すると以下の通りです。
ハード面
ソフト面
少し複雑に見えますが、センサから取得した数値の大小をマイクロコンピュータ(PIC)で判断し、点灯パターンを変更するといった単純な仕組みです。
材料
部品はすべて市販されているものです。マルツオンライン等で購入できます。
福井大学の近くにはマルツの店舗があるので、直接電子部品を買いに行きました。
実装部品
- LED(高輝度砲弾型)
- 小型圧電振動モジュール
- 電解コンデンサ
- セラミックコンデンサ
- レギュレータ
- トランジスタ
- 抵抗
- PICマイコン(12F683)
- 電池ケース
道具
- 半田ごて
- ブレッドボード(あると便利!)
- MP-LAB(プログラム編集&書き込みソフト)
- Pickit3(プログラム書き込みデバイス)
回路図
光源の回路図はこの通りです。バッテリーは単4×4本です。バッテリーから得た6Vの電圧をレギュレータを介して、PIC。センサに安定した5Vの電源を供給しています。電源が供給されるとセンサは絶えず2軸の角速度データを出力するのでそれをPICのIO0とIO1で吸い上げています。
得たデータをPIC内で判断し、常灯 or 点滅でLEDを点灯します。
LEDはPICの足に直接つなげるため、20mA程度しか電流をかけられないため、トランジスタを介して直接、電源のラインに接続しています。
プログラム
プログラミング言語は主にC言語を用います。開発ソフトウェアとしてはMPLAB IDEを用いました。
MPLABの使い方はマルツオンラインで詳細に説明されているので、参考にしてみてください。
ソフトの中ではc言語を使って命令を書く→機械語に変換する(ビルド)→PICに書き込みという流れで行います。
今回のプログラムファイルはこちら
後はプログラミング上でセンサ感度(判定の値)を変更したり、LED点灯パターンを考えれば完成!
この部分が最も大事ですが、ここにたどり着くまで時間がかかるので、早めに取り掛かりましよう。
自作光源コレクション(以下の光源は、日野電子㈱と共同開発しました。)
LED和ろうそく(2011)
ろうそくの揺らぎを高精度で再現した光源。
回路の中にはPICが内蔵されており,揺らぎ方をあらかじめ記録しておくことで,数十種類の揺らぎパターンを13個のLEDにより再現している。
フルカラーLEDデバイス(2012)
キャンパスイルミネーション用にLED和ろうそくのLEDをRGBYWの5色に置き換えたもの。
LEDのみの変更のため,内部回路はLED和ろうそくと同じもの。プログラムもほぼ同じものだが,各色のLEDに対して,タイミングと25段階の明るさを指定することができるので,自分たちで光り方を制御した初めての自作光源となった。
音センサ付LEDデバイス(2013)
フルカラーLEDデバイスに音センサを組み込むことで,拍手に反応する光源として作成した.
この年のイルミネーションから,鑑賞している人がアクションを起こすことで、明るさと色が変化するオブジェが生まれるようになった。
イルミ会場では特に小さな子供たちがこの光源を組み込んだオブジェの前で楽しんでくれた。
光センサ付LEDデバイス(2013)
音センサ付と同様にLED和ろうそくに光センサを組み込んだ光源。
マッチの火でろうそくを灯すように、センサ部分に光を当てるとLED和ろうそくが点灯するように制御した。
点灯のための光としてはスマートフォンのフラッシュ等を用いることもできた。音センサと同様に、見る人が参加できるオブジェとして会場を沸かせた。
加速度センサ付LEDデバイス(2014)
体感型オブジェ第二弾として,イルミネーションを機会に作成した光源.
人が触ると色が変化するオブジェを作るため,人が揺らす=加速度がかかるという考えから加速度センサーを採用した.これまでのフルカラーLEDモジュールは搭載しているLEDの性能が低く,屋外に展示するオブジェとしては少し光量が足りなかったので,この光源にはより明るいCOB型の高輝度フルカラーLEDを搭載している.
ジャイロセンサ付LEDデバイス(2015)
水に浮かべたい。水面の揺れを感知できるようジャイロセンサを搭載している。